MIRACORE®と宇宙の関係性
今回のテーマである<宇宙×MIRACORE®>。宇宙関連の取り組みはMIRACORE®チームも初めてです。
まずは宇宙での食事について見つめなおしてみると、様々な制約が浮かび上がってきます。
民間宇宙旅行者が増え、宇宙での食需要が高まる
2050年には宇宙での滞在型の民間人旅行者が1万人/年にもなるのではという推計があります。栄養補給にとどまらず、美食など食の楽しみへの需要も想定されます。
持っていける食糧に制限がある
食糧は基本的に地球上から輸送します。ただ、現在でも1 kgあたり100万円以上の輸送コストがかかると言われており、厳しい重量制限が。そんな環境ではもちろん、家畜を宇宙に連れていくことはできませんので、地球上と同じように肉や魚を毎食食べることは難しそうです。
宗教、アレルギー…多様な食ニーズに応える必要がある
滞在施設では世界各国からの民間人旅行者が同じ空間で食事をするシーンも少なくないはずです。となると、食事の提供者は宗教やアレルギーなど、あらゆる食禁忌に対応する必要があります。
今回登壇いただいた宇宙産業がご専門の先生方のお話によると、宇宙の食産業には日本にとって大きなビジネスチャンスがあるとのこと。宇宙環境での厳しい制約をクリアしてチャンスをつかむために着目されたのが、MIRACORE®です。
● MIRA-Dashi®は風味力価が高く、省スペース
● 食禁忌に関わらず、すべての人が楽しめる食事(オールパーパスメニュー)ができる
● 植物ベースの組み立て食品なので、将来的には、宇宙で原料を栽培して製造できるようになるかもしれない
限られた資源で多様なニーズを叶えることができるMIRACORE®は、宇宙でも大活躍しそうです。
今回は宇宙産業における食を二部制のトークセッションで掘り下げつつ、MIRACORE®があるとどのような未来が描けるのかについてもお話しいただきました。
宇宙をテーマにした4品の試食品は、トークセッションでも登壇された高山シェフに提供していただきました。
第一部/加須市と宇宙の意外な関係
第一部のタイトルは、「宇宙で実装する、地球と宇宙の未来食-MIRACORE®と加須市の共創チャレンジ」。
加須市が取り組む「加須宇宙米プロジェクト」を中心に、地球と宇宙をつなぐ食育の新しい可能性について議論しました。食・農・宇宙を横断する食育事例の紹介や、MIRACORE®を活用した未来の宇宙食の試食体験を通じて、食の持つ力と広がりを実感できるセッションとなりました。
ご登壇いただいたのは、
加須市 角田守良市長
加須市教育委員会 小野田 誠教育長
慶應義塾大学 白坂成功教授
早稲田大学 野中朋美教授
株式会社DigitalBlast 堀口真吾代表取締役社長
風の沢art&cuisine オーナーシェフ 高山仁志シェフ
ここに、MIRACORE®を率いる風味基材事業部の齋藤部長を交え、セッションを行いました。
挨拶される加須市の角田市長埼玉県でもっとも米の生産量が多い田園都市、加須市。
加須市出身のDigitalBlast堀口CEOの提案をきっかけに、2025年2月「加須宇宙米プロジェクト」が発足しています。
加須宇宙米とは、種もみを宇宙に運んで国際宇宙ステーションで保管、地球へ帰還したものを育てる「宇宙帰還米」です。25年10月26日に種もみの宇宙への打ち上げを行いました。
会場に飾られた加須宇宙米プロジェクトのロゴ
加須市では、加須宇宙米を使って、農業と宇宙の両方を学べる食育プログラムが小学校で展開されています。
さらに2025年8月末には、MIRACORE®もテーマに入れ、宇宙での食について試食しながら想像する特別授業を小学校で実施いただきました。
今回の万博プログラムでの試食では、8月の特別授業で小学生の皆さんにも食べてもらった2品を高山シェフより提供いただきました。
未来の「宇宙いくら丼」

1品目は、植物性の「いくら」を乗せた炊き込みごはん。お米はもちろん加須のお米です。
目を引く「いくら」は、スタートアップ企業エシカルプロダクツさまが販売されている常温輸送可能ないくら状カプセルに、MIRA-Dashi®で作った漬け液をしみこませたものです。
見た目もさることながら、魚卵のような風味やコクも「いくら」そのものでした。
宇宙に持っていけるかも!?植物性の「宇宙いくら」民間宇宙旅行者が求める美食にもマッチしそうな「いくら」。常温輸送ができ、アレルギーの心配が少ない植物性で設計できれば、宇宙との距離が縮まります。
加須のお米と「未来カレー」

牛肉や豚肉が欠かせない日本式の欧風カレーを、植物性で誰もが食べられるように設計。
小学校でも大好評だったようで、誰もが楽しめる宇宙での食事が実装されています。

第一部では、MIRACORE®と加須宇宙米のコラボレーションによる試食体験を通じて、参加者の方々に「未来の食」や宇宙への想像を広げていただく機会となりました。
第二部/宇宙レストランとMIRACORE®

第二部のタイトルは、「宇宙で実装する地球と宇宙の未来食」。
宇宙産業の専門家を迎え、宇宙旅行者のための「宇宙レストラン」実現のための課題や展望について議論しました。
宇宙空間ならではの制約や多様な食ニーズに対応するための技術、そしてMIRACORE®が描く未来の宇宙食について、深く掘り下げる場となりました。

「宇宙レストラン」は、民間人宇宙旅行者が食事をするレストランです。
滞在期間中の任務がある宇宙飛行士と異なり、宇宙滞在が目的である民間人旅行者にとって、宇宙での食事は一種の「エンターテイメント」。ですが、宇宙空間で食事を楽しもうとすると、体験者側にも大きな制約がありそうです。
たとえば、宇宙空間だと身体の状態や生理反応が地球上と異なる点。
まず、食材が口の中で当たる場所や広がり方が地上とは変わる可能性があります。さらに、微小重力の影響で体の中の水分(体液)が上半身に集まりやすくなります。すると顔がむくみ、鼻が常に詰まっているように感じることがあります。
風味は味だけではなく香りにも大きく関わっているため、こうした変化によって、おいしさの感じ方風味の感じ方にも影響が起こるかもしれません。
野中先生のファシリテーションで展開する熱い宇宙トークそんななかでラグジュアリーな食体験を提供する「宇宙レストラン」はどのような形が望ましいのだろうか――
宇宙開発・宇宙産業の業界をリードされる白坂先生、宇宙における快適性「宇宙QOL・快適ECLSS」を研究される野中先生、宇宙利用事業の開発を行うDigitalBlastの堀口CEO、宮城県でオーベルジュを運営される高山シェフ、という宇宙/食にそれぞれ異なる接点をお持ちの皆さまとのトークを通じて、どんどん深堀される宇宙の食卓。
なかでも印象に残ったのが、
「海外輸出のように、仕向け地が宇宙になる宇宙輸出が当たり前になる時がくる」
と白坂先生の言葉。
初めは遠い印象を持っていた宇宙ビジネスが、お話を聞きにつれて現実味を帯びて感じられました。MIRACORE®が宇宙輸出される日もそう遠くないのかも!?
第二部で提供されたのは、宇宙レストランを想定したすこしラグジュアリーなメニュー2品。

未来キャビアと植物性のアメリケーヌソースパスタ
未来いくらと植物性貝だしの湯場麺
エビも魚卵も、アレルギーなどで実は食べられない方が多い食品ですが、これなら宇宙でみんなが食べられます。
参加された方のなかにはエビアレルギーの方もおられましたが、おいしく召し上がっていただくことができました。
「友達のえび好きすぎてアレルギーになってしまった子に教えてあげたいです。」というお声も。
ある参加者の方からは、こんなコメントをいただきました。
「宇宙食と聞いて、あまり身近に感じませんでしたが、アレルギーや健康食、非常食など、今の問題にアプローチできる、素晴らしい技術と思います。」
宇宙で役立つ食の技術が、地球の課題にも貢献できるという可能性を実感していただけたようです。
第一部・第二部を通じて、教育と宇宙産業の両面で新しい価値を生み出すMIRACORE®の可能性が感じられた一日となりました。